ステキなお客さま

僕が北九州市内で、中古レコード・CD店をやっている事は
既に何度もお知らせした通りです。
長年店をやっていると、いろんな方が来店されます。
そのひとりひとりが大事なお客さまである事は
もちろん言うまでもありませんが、
その中でも特にステキな印象を残して行った方がいます。
一応今回の話に登場する方は、女性限定という事にさせていただきますけど。


まずある日20歳くらいの若い女性が来店し、
「アース&ファイアー有りますか?」と聞かれました。
一瞬「え?」と思いました。
アース&ファイアーは1971年に日本で「シーズン」の大ヒットを放った
オランダのグループで当時は有名でしたが、その後は忘れられた存在となっています。
その方はどう見てもリアルタイム世代には見えないので、
もしかしてアース・ウインド&ファイアーの事かと思いましたが、
やはり間違いなくアース&ファイアーの方を、探しに来られたのでした。
幸い在庫があったのでCDを取り出し、グループや曲について、
またその背景について、色々とお話してあげました。
その方は一生懸命、僕の話を聞いてくれ、喜んでCDを買って帰りました。
その時僕は「こんな人の為に、昔のいろんないい音楽を
たくさん紹介出来るようなラジオ番組をやりたいなあ!」
心からそう思いました。


次はCDを売りに来られた女性の話。
その方は外見も話し声も、とても綺麗で優しく上品な感じの方で、
「CDの買い取り、お願い出来ますか?」と言って、
大きなリュックからおもむろに大量のCDを取り出したのですが、
その内容がおよそご本人のイメージとは程遠い、
激ハードでしかも超マニアックなロックばかりでした。
「ああ、多分ご家族かお友達のたのまれものだろうな」と思い、
査定をしましたが、普段なかなか入らないようなものが多く、
高価買取が可能なものも相当あり、結構金額も上がりました。
他店ではマニアック過ぎて、なかなか買い取ってもらえなかったとの事で、
喜んでお売りいただき、その後その女性はしばらく店内を見られていました。
そして今度はお買い上げのCDをレジに持って来られたのですが、
なんとそれがまた激ハードで超マニアックなロックばかり!
つまりその上品な女性が売りに来たCDは、
全てご本人が自分で聴いていたものだったのです!


そして今度はラジオに関わるようになってからの話。
ラジオ関係の方に、僕がレコード・CDを扱う店をやってる事を話すと、
皆さん、「ぜひ今度行きますよ!」と言って下さいます。
ただラジオ関係の皆さんは、それぞれに超ハード・スケジュールを
こなしている事は重々承知しているので、
「いつでもいいですから、お時間のある時にどうぞ」と言います。
ところがその方は店の場所を教えると、もうその週には来店していました。
当時は可愛いけどごくフツーの娘というイメージの方だったので、
聴く音楽もごくフツーの所だろうと思ってました。
ところがところが、その方がレジに持って来たのは、
ソフトロックだ、ジャズヴォーカルだと超マニアック、
しかも僕の趣味にぴったんこのCDばかりじゃないですか!しかも大量の!
しこたま買い込んで、ニコニコしながらその方が帰った後、
その前までは閑散としていた店内が急に賑わい始め、
結局その日は好調な売り上げを記録するという、おみやげまで残して!
それ以来、僕はその人の事を「幸運の女神!」と呼んでいます。


今回は3人の女性のお客さまをご紹介しましたが、
お三方ともに今でも何らかの関わりのある方ばかりです。
それぞれがどなたであるかは・・・まあ、ご想像にお任せしますけど・・・