ジョンとポールのバラード その2

続きです。
で、ジョンの命日だった昨日、なぜか店のスタッフや常連さん達と、
一日中ポール・マッカートニーの話をしてました。
常連のおひとりが、ポールの「明日への誓い」のダブ・ミックスを含む、
アナログ12インチを入手したと言って持って来られたので、
早速みんなで聴いてみたり、
「オフ・ザ・グラウンド」がアルバムとシングルで、
別ヴァージョンになってるとかで、店のCDを聴き較べしてみたり。
そして今もって現役で作品を発表し続け、歌い続けるポール、
どんだけ凄い才能の持ち主やねん!!!ってな結論に達しました。


思うにビートルズ解散直後のポールは、
何かにつけ批判の的にされる事が多かったですね。
(そう言えばつい最近も、番組関係者やリスナーさん達と
 同じようなやり取りをしたばかりだなあ)
ビートルズ時代には目立たなかった才能を一気に開花させたジョージ、
衝撃的な作品と、社会的にも大きな影響を及ぼす活動を続けたジョン、
常にマイペースなリンゴ。
それに較べてポールは、なにぶんにもビートルズ時代(特に後期)が凄すぎて、
あまりにも期待が大きかったため、ソロ〜ウイングスとして、
何かをすれば必ず「期待外れ」の評価がつきまといました。
ソロアルバム第一弾の「マッカートニー」はあまりにも散漫、
次の「ラム」はそこそこの評価を得たものの、
ウイングス結成後の「ワイルド・ライフ」は荒削り・デモテープ程度。
シングルも「アイルランドに平和を」が政治的配慮から放送禁止、
「メアリーの小羊」はあまりにも子供向け、
「ハイ・ハイ・ハイ」はエッチな内容でまたも放送禁止等々・・・。
あの井上悟さんも、ジョンやジョージの評価に較べて、
何もかも一人で作ったポールのファースト・ソロアルバムに対しては、
批判的な立場を取られていました。


でもポールのCD、特に初期のものは、うちの店では今でもよく売れています。
おそらく今あらためてビートルズを解散した頃のポールを
じっくり聴き直してみたいという方が多いのでしょう。
僕も当時はあまり聴く気のしなかったこの時期のポールの作品には、
実はその後再び黄金期を築く彼にとっての、
いわば原石のような、荒削りながらもその才能が伺える作品群が、
いたる所にちりばめられている事が判ります。


その頃のポールは何故か僕にとっては、あの大横綱大鵬とイメージがダブります。
子供の頃からスポーツが苦手だった僕にとって、唯一好きなスポーツだった大相撲。
大鵬は当時圧倒的な強さで数々の新記録を作りましたが、
どちらかと言えば受身で、「勝つ」というより「負けない」相撲でした。
面白味のない相撲ということで、相撲愛好家にとってはむしろ柏戸の方が人気でした。
柏戸は積極的な攻撃型でしたから。(そのぶん取りこぼしや怪我も多かったですが。)
僕も大鵬より柏戸に魅力を感じていたひとりですが、
安定した取り口で着実に白星を重ねる大鵬の偉大さも、
今になってあらためて認識しています。
そして天才と思われながらも、その陰には大変な努力の裏付けがあった事も。
ポピュラー音楽界におけるポールの位置づけも、
同様なのではないか?なんてことを感じますね。