ハッピー・クリスマス

今年もクリスマスが近づいて来て、
ラジオからは連日クリスマス・ソングが流れて来ます。
中でもジョンとヨーコが歌うこの「ハッピー・クリスマス」は、
今や達郎さんの「クリスマス・イブ」、ワムの「ラスト・クリスマス」と並ぶ
クリスマス・ソングの定番中の定番で、おそらくこの時期には
耳にしない日はないと言ってよいでしょうね。
単なるクリスマス・ソングに留まらず、
平和を願うメッセージが込められたその歌詞は
ジョン・レノン亡き今なお、世界中の人々の心に訴えかけて来ます。


しかしこの曲が生まれた頃を想い出してみると、
どう捉えていいのか判らない、なんとも不思議な位置づけにある曲でした。
当時まだ「イマジン」が大ヒットしている真只中でしたが、
間髪を入れずに発売されたまさかの新曲。
歌い出しの部分では三連バラードかと思いきや、いつのまにか三拍子に変わってる、
結構掴みにくい奇妙なリズム。


冒頭のセリフ「ハッピー・クリスマス、キョーコ」「ハッピー・クリスマス、ジュリアン」
キョーコがヨーコさんと前夫との間に生まれた京子さんであることは、
「京子ちゃん、心配しないで」という曲もあり、比較的知られていましたが、
ジョンと前妻との間の子供で、後にシンガーとして成功を収めたジュリアン・レノン
この時点ではあまり知られていなかったと思います。
「ヘイ・ジュード」で歌われるジュードが彼のことだというのも、
僕はまだ知らなかったのではないかと・・・。
因みにジョンとヨーコの間にショーンが生まれるのは、この4年ほど後のこと。


暮れも押し迫った頃に、突然登場したこの「ハッピー・クリスマス」の扱い方に、
当時の各ランキング番組はかなり戸惑ったのではないでしょうか?
実際番組毎に扱いはバラバラで、
KBCの「今週のポピュラー・ベストテン」では全くランク入りせず。
文化放送の「オール・ジャパン・ポップ20」では、
年が明けてから(!)一週だけ18位に登場。
そして唯一健闘したのが、RKBの「ペプシ・ポップス・タイム」でした。
12月にランク入りした「ハッピー・クリスマス」は、
まだ上位に居座っていた「イマジン」をたちまちの内に追い抜き、
1971年の最終ランキングで3位まで上昇、
しかし年明けには一気にベスト20の最下位まで後退していました。
因みに一旦後退しかけていた「イマジン」の方が、この時再び4位まで上昇しています。


日本にヒット・パレード番組が誕生して間もない頃には、
毎年暮れになるとランク入りする「ホワイト・クリスマス」といった曲もありましたが、
「ハッピー・クリスマス」が発表された頃には、
クリスマス・ソングがランク入りというケースは当時あまり例がなく、
この曲ですらクリスマス・シーズンの定番曲として定着するには、
思いのほか長い時間を要したようです。